外食アワード

外食産業記者会の創立25周年記念事業として制定した表彰制度は、今般第16回目になります。選考委員会は、このたび「外食アワード2019」の選考作業を終え、表彰対象者(受賞者)として分野別に合計6氏を決め、ここに発表します。
 また、2019年は外食から見てどんな年であったか、どんなことが話題になったのかを象徴する言葉として、選考委員会は5つの「2019年外食キーワード」を選びました。

 
 
おかもと・はるひこ
岡本 晴彦
株式会社クリエイト・レストランツ・ホールディングス 代表取締役社長
《表彰理由》
外食企業の事業承継が大きなテーマになる中、M&Aを推進し、グループを1400億円企業に作り上げた。従来の「飲み込む」方式ではなく、経営そのものや業態開発についてはM&Aを実施した各企業の経営者たちの自主性に任せ、経理や財務など、バックヤードをホールディングスが担う「連邦経営」方式を打ち出し、新しいM&Aの形を作った。現在も新しい企業を傘下に収めながら、事業規模を拡大している。
 
ふみの・なおき
文野 直樹
イートアンド株式会社 代表取締役会長
《表彰理由》
中華食堂「大阪王将」などの外食事業と量販店などで冷凍餃子を販売する食品販売事業の両輪で事業を拡大。外食事業と食品事業が互いに相乗効果を発揮する唯一無二のビジネスモデルを創り上げた。フルライン型フードメーカーとして成長を続け、2019年3月期の売上高比率は市販用売上高51%、外食売上高49%となった。19年9月には創業50周年を迎え、同年11月には最新鋭設備を整えた新関東工場を群馬県に竣工した。
 
たなか・とおる
田中 徹
株式会社ステディワークス 代表取締役
《表彰理由》
現在のクラフトビールトレンドの火付け役となった「クラフトビアマーケット」を展開。クラフトビール1杯480円の価格設定や、ビアパブながらも食事を充実させたスタイルを打ち出し、クラフトビールを広く世に知らしめた。2019年9月、東京・日本橋の商業施設「コレド室町テラス」に開業したブルワリーレストラン「クラフトロック ブリューパブ&ライブ」では自家醸造を実現。また、クラフトビールとコラボレーションした音楽イベントを企画・運営するなど、アルコール飲料としてのさらなる可能性を模索している。
 
みやの・ひろし
宮野 浩史
株式会社クリスプ 代表取締役社長兼CEO

《表彰理由》
カスタムサラダ専門店「クリスプ・サラダワークス」をヒットさせ、多店舗化に成功。話題の商業施設等に続々と出店し、サラダトレンドを牽引した。多店舗化を進める中で、浮かび上がってきたオペレーション上の課題を解決するために、モバイル事前注文アプリ「クリスプAPP」やキャッシュレスのセルフレジを独自に開発、導入。注文時のストレス解消を考慮したアプリにより客単価増、回転率アップを実現したのに加え、従業員の生産性向上にも貢献。効率化でできた時間を従業員が本来の価値ある仕事である、顧客とのコミュニケーション等に振り向けられるようにした。テクノロジーの活用により飲食店の働き方に新たな可能性を示している。

 
ふせ・たかゆき
布施 孝之
キリンビール株式会社 代表取締役社長
《表彰理由》
飲食店向けサーバー「タップ・マルシェ」は、主にクラフトビールの普及・拡大を目的に開発されたもので、2016年のテスト設置を経て、17年4月から首都圏一都三県で、翌18年3月から全国展開を開始した。ゴミとして出せる3ℓペットボトルに詰めるという斬新な発想により、クラフトビール取り扱いにおける課題の1つであった「多品種・少量では扱えない」という壁を打ち破ることに成功。そのコンパクトさは狭い飲食店の厨房のちょっとした空きスペースにも設置できることから、クラフトビール専門店以外の飲食店に瞬く間に拡大、クラフトビールの需要開拓に大きく貢献した。デザイン性の高さから厨房だけではなく、「ホールに設置できるサーバー」としても注目を集めた。
 
あらい・たいどう
新井 泰道
株式会社叙々苑 代表取締役会長
《表彰理由》
いまから40年以上前、まだ世の中に「上カルビ」というものが存在しなかった頃に、来店客のひと言から生まれた「上カルビ」。レモンを添えてネギと塩味で食べさせる現在のスタイルである「タン塩」。食後のデザート、ガム…。こうしたものはすべて、叙々苑が始めたことだ。ただひたすら、おいしい料理を提供しようと、顧客の声に耳を傾け、「焼肉」を磨き続け、「料理」へと昇華させた貢献は計り知れない。グルメサイトのカテゴリーに「焼肉」というジャンルが設けられたのも、叙々苑の功績と言っても過言ではない。焼肉業界におけるその大きな功績は今後も色あせることはないだろう。
 

2020年1月22日(水)アワード表彰式で集まった受賞者のみなさま
「居酒屋JAPAN/焼肉ビジネスフェア」会場内(池袋サンシャインシティ文化会館)にて
 

「タピオカ」
キャッサバ等のイモデンプンを小さく丸めたタピオカを、ドリンクや料理に使ったメニューが大流行した。特にミルクティーに使ったドリンクは爆発的な人気となり、「ゴンチャ」などの台湾発のチェーンだけでなく、オリジナルブランドの店舗が多く出店した。ただし、すでに過当競争になりかけており、ブームがいつまで続くか注目される。

「軽減税率」
2019年10月実施の消費税増税に伴い、食品小売については、2ポイントの増税を課さず、従来通りの8%のままにするという施策。イートインでは10%なのに、テイクアウトは8%で済むという差額によって消費者のテイクアウト意識が高まり、外食企業も一斉にテイクアウトサービスの強化に走った。

「特定技能実習制度」
外国人採用における新たな資格制度。従来は、労働ビザを取らない方法としては、留学生・就学生に限って週28時間のみの労働を認めるものがあったが、特定技能実習の検定に合格すれば、通常雇用と同等にフルタイムでの働き方が認められる。ただし、年数回の検定試験に合格する人は増えているものの、手続きが煩雑なため、実際に新たな資格を取った人はまだ数少ない。

「サブスクリプション」
定額制の飲食価格体系。数年前から増えているが、かつての時間制の食べ飲み放題のようなものだけでなく、最初に定額を払うとドリンクを自由、会員になると飲み放題などの新しいバリエーションが広がってきた。背景にあるのは、コスパの良い飲み方をしたい消費者心理と、確実な売上と固定客が欲しい飲食店側の事情。中小飲食店が中心だが、大手が取り組み始めているので、一斉に動きだす可能性もある。

「ゴーストレストラン」
既にあるレストランや居酒屋の厨房を借り、配達だけで営業する飲食店のこと。宅配ピザに業態は似ているが、店舗への設備投資をしないこと、配送は近年成長してきた専門業者に任せていることが異なる。店舗オーナーにとっては、店の空いた時間にフィーを稼ぐことができ、料理人にとっては、お金をかけずに自分の料理をお客に問う機会を得ることができる。店舗、宅配、フードトラックに次ぐ、新しい飲食形態といえる。

 

特別協賛:焼肉ビジネスフェア事務局/居酒屋JAPAN事務局
 

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